なにやらまた、不思議な地方にやってきました。
なにしろ、字が読めません。漢字のようなのですが、漢字ではなさそうですな。(ハングル文字の事と思われる)といって、平仮名でも当然ありませぬ。
ふむふむ・・・・・・。分かりました。
きっとこれは暗号に相違ありませぬ!
おそらくここは忍者の里ではないかと思われます。忍びが任務を部外者に悟られぬために暗号を使って生活しているのでしょう。
ううむ。それにしても、忍びの里とはもっとひっそりとしたものだと思っていましたが、実ににぎやかで活気に溢れているものなのですなぁ。
看板には、おお、ここだけ漢字ですな。「開城」と書いてありました。この先のお城は今は門が開いているという事でしょうか。言うまでもなく、ここは朝鮮の都市「開城」である。
とにかく、忍者の里といっても、特別変わった造りをしていると言うわけではないようです。
広場では市も開かれており、白菜を独特の味付けした食べ物を売ってました。キムチ。
これは忍者の携帯食なんでしょうかなぁ。辛いので、ご飯と一緒に食べると食が進みそうですね。
さて、この里でのある日の事、私は吊目藤次郎という浪人に出会いました。
なんでもこの人物、丸目長恵殿に師事して剣の腕を磨き、今では天下一の剣豪と啖呵を切って参りました。
そして、京へ上り、将軍家の剣術指南として自分を売り込もうとしているらしいです。
はははは。この御仁、どうやら相当の方向音痴のようでございますなぁ。お前に笑う権利はない。確か、この付近は東海地方でございますぞ。朝鮮だっつってんだろ!
さて、そこで、私も新陰流の松山雪之丞と申しますると、自分も剣豪である事を伝えたところ、どちらの剣が上か勝負しようという事に相成りました。
丸目殿の弟子とあらば、相当な腕前と思ったのですが、勝負は一瞬で私が勝ちました。
あまりにも解せなかったので問い正したところ、実はかの者、丸目殿の下に弟子入りしたは良いのですが、修業の厳しさに耐えれず数日で逃げ出してきたらしいのです。まあ1日でも教えを受ければ、師事した事にはなるけどな・・・。
つまり、先ほどの啖呵もみんな口先だけだったのですな。よくもまあ、そんなんで将軍家に売り込みに行こうなどと思えるもんだ。
この男、どうやら私の剣の腕に感服したらしく、今度こそ本当に強くなりたい、剣を教えてほしいと願い出てきました。
よろしい。ここで会ったのも何かの縁。私がしっかり剣術の基礎を指導して差し上げましょうぞ。
認められた嬉しさもあって、ついつい調子に乗ってこう答えたのが間違いでした。
この夜はこの里の民宿に泊まったのですが、翌朝には彼の姿はありませんでした。
ふと、嫌な予感がして身の回りを調べてみると、肌身離さず身につけていた刀を除き、全ての持ち物を眠っている隙に盗まれていました。まんまと一杯食わされたようです。
何たる不覚!! ううう。自分で自分がつくづく嫌になりました。
お金も、信長殿に貰った地図も、河野殿にもらった水軍書も、楊殿にもらった傷薬も何もかも失いました。
あの男、今度見つけたらただでは置かぬ。八つ裂きにして、その髑髏で酒を飲んでくれましょうぞ。の、信長煤i○□○;)!?