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 いよいよ小田原城が見えてきました。

 「この先内城」と、このまま進めば城の中に入れるという案内もありまする。←ああ、勘違い。城内への案内じゃなくて、「内城」って名前の城でんがな。

 なかなか親切ですね。それとも、来るなら来いという氏康の意思表示でしょうか。

 だとすれば敵ながら天晴れ。

 上手く城に忍び込みついに大広間のふすまの前に立ちました。

 父上、母上、兄上、天より御照覧あれ。今こそ氏康を討ち取ってみせます。

「覚悟せい!北条氏康!!」

 ふすまを力一杯開けたその先には、二人の侍がご飯を食べていました。

「くっ・・・曲者じゃ!!」

「このワシを島津義久と知っての狼藉か!!ええい、叩き斬れ義弘!!」

 ・・・ま・・・また、やってしまいました・・・・・・。

 氏康と間違えたと言っても、義弘殿は話を聞いてくれない(当たり前だ)ので、脱出用にお師匠様から頂いた煙玉を使ってその場から逃げ出しました。

 しかし、義弘殿を振り切ったものの、城を出ると多数の兵達が道を遮りました。

「我らの義久様と義弘様の命を狙うとは許さん!!」と、兵士達は命を捨てて攻撃してきました。

 彼らは少しも私の剣技を恐れませんでした。

 斬っても斬っても決して怯みませんでした。

 何とか血路を開いて逃げましたが、これほど強く忠誠心の固まりのような兵士達と戦ったのは初めてです。

 これが噂に聞く薩摩の強兵・・・。

 優秀な指揮官がこの兵士達を1万率いれば異国の軍隊など、たとえそれが20万の大軍であろうと撃破は不可能ではありますまい。

 

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