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 駿河の国を越えてそろそろ小田原へ着く頃ではないかと思った私は、とある茶屋にてここがどの辺りか聞いてみました。

 すると、お店の看板娘のおみつ殿は笑顔でこう返して下さいました。

「ここは伊予の国ですよ。」愛媛県

 私はまたしても道を間違えたようでいつの間にか四国に入っていました。何ということでしょう。富士川だと思っていたあの川は瀬戸内海だったのです。

 しかし、せっかく伊予まできたのだし、瀬戸内水軍を訪問してみることにしました。

 来島村上水軍の頭領であらせられる来島通康殿は親切で、見ず知らずの私を温かく迎えてくださいました。三島村上水軍には他に能島村上水軍と因島村上水軍とがあるで〜。

 私が剣の稽古をつけるかわりに、私は水軍を見学させていただくことになりました。またこの地にしばらく滞在して、海戦のイロハを学ばせていただきました。

 憎き北条も水軍を自慢にしておりますゆえ、ここで学んだことがいずれ何かの役に立つかもしれません。水軍能力がEからCにアップ。

 滞在を終えて別れるとき、来島殿は私にたくさんの蜜柑を下さいました。何と温かいお心遣い。きっと氏康を討ち果たしたのちは、またお礼の書状でも送りましょう。この場はお礼を言って別れ、東に戻ることにしました。

 ところが、初めは重かった蜜柑がだんだん重さを感じなくなりました。重さに慣れたのだと思いしばらくは気にもとめませんでしたが、あまりに軽くなってきたのでさすがにこれはおかしいと思い袋を調べると・・・・・・・・・・底にちょうど蜜柑とほぼ同じ大きさほどの穴が開いておりました。袋が古かったので、重さに耐え切れなくなったようです。

 来島殿のせっかくのお心遣いを無駄にした自分の愚かさが悔しくてたまりません。せめて今からでも回収できるだけ回収しようと来た道を戻って蜜柑を拾いました。

 ふう。かなりの量を失ってしまいましたが、多少は取り戻すことが出来ました。さて、では東に向けて出発しましょうか。

 ・・・・・・・・・あれ?東はどっちでしたっけ・・・。蜜柑を拾うのに夢中で、また方向がさっぱり分からなくなってしまいました。

 

 ・・・刀を立てて倒れた方にでも進むとしますか。結構いい加減ですな雪ちゃん。

 

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