もんちっち劇場






4/1 (日)



 4月1日 ナゴヤドーム 


 中日 2 − 2 広島


 開幕3戦目の先発はケガから復帰して2年ぶりの先発となる球界最年長左腕の山本昌。

 途中制球に苦しみながらも5回を無失点に抑え、勝ち投手の権利を得て降板。

 しかし、絶大の信頼を誇る中継ぎの浅尾が捕まり同点となり山本昌の勝ちが消滅。試合はそのまま引き分けで終了。

 山本昌は素晴らしい投球で復活をアピールしたものの、2年ぶりの白星と、杉下茂氏が持つ211勝の球団記録(現在山本昌は210勝)は、次回以降にお預けとなった。



 管理者:

 「うああああああああああ!!」



 美咲:

 「頑張ったのに!頑張ったのに!!」


 管理者:

 「山本昌兄ぃの復活白星がああああああ!!」



 美咲:

 「球団タイ記録がああああああ!!」


 管理者:

 「去年防御率0.41の化け物成績を残した浅尾がまさかの2失点とはなぁ…。」



 美咲:

 「まあ、過ぎたことは仕方がない。浅尾だって取られたくて取られたわけじゃないし。というか、たぶん今誰よりも落ち込んでるのが浅尾だろ。惜しいのは確かだが、ファンとしては気持ちを切り替えていくしかねーよ。」


 管理者:

 「さすが美咲はピッチャーだな。気持ちの切り替えが早いわ。一般人のワシなんかはずっと引きずっちゃうよ。」



 美咲:

 「ふふふ。『人間(じんかん)万事塞翁が馬』って故事を知ってるか?」


 管理者:

 「んー、聞いたことはあるけどなぁ。内容はよく分からん。」



 美咲:

 「やれやれ、無学なオッサンだなぁ。仕方がない、教養のない中年オヤジのお前にも分かるように解説してやろう。やっぱりオレって優しいな。」


 管理者:

 「そもそも優しか人は、他人ば そげんボロクソに言いもはん。」



 美咲:

 「むかし、中国の北方の城塞にジジイの家族が住んでたんだよ。」


 管理者:

 「ジジイ言うな。これだから最近のギャルは言葉遣いが汚ぅて…。」



 美咲:

 「オレ様は燃える男だから男言葉なんであって、言葉遣いが悪いだけのチャラチャラ女どもとは違う。一緒にすんな。」


 管理者:

 「向こうもスケ番と一緒にすんなと思ってると思う。」



 美咲:

 「ええと、どこまで喋ったっけ?」


 管理者:

 「ジジイ現るってところまでかな。」



 美咲:

 「ジジイなんて言うなよ、言葉遣いのなってないヤツめ。お年寄りは国の宝だぞ。」


 管理者:

 「いや、もうそーゆー切り返し良いから!!」



 美咲:

 「で、ある日、その爺さんの飼ってる馬が逃げ出したんだよ。」


 管理者:

 「あれま。」



 美咲:

 「当然近所の人らは『うわぁ、気の毒だったねぇ』と、落ち込んでるであろう爺さんを慰めたんだけど、当の爺さんは『なぁに、これが悪いことだとは限らんよ』とヘッチャラだった。」


 管理者:

 「いや、どう考えても悪い出来事ですやん。」



 美咲:

 「黙って聞け。すると、逃げ出した馬が、北方の優れた馬を連れて帰ってきたんだよ。1頭失った、と思ったら、2頭に増えたわけだ。」


 管理者:

 「嫁さんを探しに行ったのかその馬。」



 美咲:

 「馬が増えて帰ってきたって言うんで、今度は近所の人たちは『爺さん、良かったなぁ。ツイてるなー。』ってお祝いしてくれたんだ。でも、爺さんは『いやいや、これが何か災いにつながるかもしれん』と、浮かれた様子はなかった。」


 管理者:

 「その爺さん、ただの天邪鬼なんじゃねぇの!?」



 美咲:

 「だからチャチャを入れるなっつーの。

 後日、爺さんの不安は的中して、その新しく連れてきた馬から、爺さんの息子が落馬して骨折しちまったんだ。この馬が連れてこられなければ落馬事件はなかったわけで、爺さんの言うとおり、馬が増えたのは良い事とは限らなかったって事だな。」


 管理者:

 「すげえ、ドラクエ4のミネアさんも真っ青な未来予知能力だ。」



 美咲:

 「息子が骨折したことで、また近所の人が『息子さん、災難だったねぇ。』となぐさめに来た。ところが…」


 管理者:

 「『ファファファファ…、これが悪いことだとは限らんよ…、ファファファファ。』」



 美咲:

 「そうそう。エクスデス笑いをしたかどうかは知らんが、やっぱり爺さんは気にする様子でもなかった。」


 管理者:

 「んで、今度はどうなった?」



 美咲:

 「舞台は中国の北方って最初に言ったよな。じゃあ、この城塞は何のためにあると思う?」


 管理者:

 「まあ、中国の北方の城塞ってことは、匈奴とか烏丸みたいな北方異民族との戦いに備えて建てられたものだろうね。」



 美咲:

 「そう。その北方異民族との戦争が始まったんだ。当然城塞に住む若い連中は兵隊に駆り出された。」


 管理者:

 「あ!」



 美咲:

 「当たり。爺さんの息子は骨折してたから戦えないってんで、兵隊に駆り出されずに済み、命を落とさずに済んだんだ。不幸にも落馬したことが、実はもっと大きな不幸から免れる幸運につながったってわけさ。」


 管理者:

 「面白いねー。」



 美咲:

 「つまりだ。この爺さんの馬の逸話のよーに、世の中で起こる出来事なんてのは、一見良いことのようでも不幸につながることもあるし、災難だと思ってたことが逆の結果を生むなんて事もよくあるワケで…」


 管理者:

 「うん。」



 美咲:

 「結局、その時々の出来事が本当に良いことだったのか、悪いことだったのかなんて、先にならなきゃ分かりゃしないって事なんだよ。

 だから、目の前の出来事にいちいち一喜一憂しても仕方がないし、まぁそんなに気にすんなってこった。」


 管理者:

 「なるほど。話はよく分かった。じゃあ今回のケースに置き換えて考えてみよう。今日、山本昌の大事な勝ち星が消え、また浅尾が心に手痛い十字架を背負ってしまったわけだが…。」



 美咲:

 「山本昌は今回の無念をさらなるパワーに変え、さらに強靭なピッチャーに進化する!そして、10年後、未だバリバリ現役を続ける56歳の山本昌は見事開幕投手に選ばれ、今年の吉見が惜しくも為しえなかった開幕パーフェクトゲームを達成するのだ!!」


 管理者:

 「おおお!さすが昌兄ィ!!そして、今日大事な復活勝利をフイにしてしまった浅尾はこの悔しさをバネに進化を遂げ、200キロのストレートを投げるに至る!もはや人類の限界を超えたこのストレートを打てる打者はこの世になく、浅尾は50歳で引退するその日まで二度と点を奪われることはなかった!!」



 美咲:

 「中日打線は思った!そもそもオレ達がもっと点を取ってやっていれば、二人を悲しませずに済んだんじゃないか、と!

 燃えに燃えた中日の野手陣たちは地獄の打撃練習を乗り越え、チーム打率3割超、チーム本塁打200…いや、250本の超重量打線を形成!懐かしの強竜打線が復活を遂げたのである!!」


 管理者:

 「そんな凄まじい絆のドラゴンズに感動した野球少年たちはみんなドラゴンズでプレーしたいと憧れるようになり、有望な人材が毎年ドラゴンズに集中!今後100年ドラゴンズは優勝を明け渡すことはなかったのだった!!あひゃひゃひゃひゃ!!めでたしめでたし!!」



 美咲:

 「よーし!じゃあ、この勢いでドラゴンズの選手全員に国民栄誉賞でも出すかぁ!!」


 管理者:

 「じゃあ、今日から日本の国家は『燃えよドラゴンズ』だー!!」



 鳴隼:

 「…なんなの、アレ?」



 ゆきんこ:

 「楽しみにしてた山本昌投手の復活勝利が、水の泡になってしまった悲しみのあまり 狂っておしまいになられたのです。」






 
やべえ、ドラゴンズアイコンの帽子、前のユニフォームのまんまだわ。





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